胆嚢破裂
こんにちは、なつ動物病院です。
2019年になり早くも1ヶ月が過ぎました。
みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今回は胆嚢破裂という病気についてです。
手術写真もありますので、苦手な方はスクロール控えてくださいね。
みなさん胆嚢という臓器はご存じですか?
胆嚢は胆汁という消化を助ける液体を蓄えています。
ただ、胆汁の作られる場所は肝臓で、胆嚢で一時貯蔵、食事時に胆嚢が収縮し、胆嚢から小腸までの管(総胆管)を通り小腸へ分泌されます。
超音波検査機器で胆嚢をみると正常な胆嚢は以下のような超音波画像となります。
胆嚢の中は黒くきれいな様子で写ります。胆嚢の壁も弧を描いてきれいですね。
今回ご紹介する病気はこの胆嚢がそのまま破けてしまった状態を示します。
胆嚢が破裂すると強烈な腹膜炎を起こしますし、緊急性が高く、亡くなってしまう可能性の高い病気となります。
胆嚢が破裂する原因は様々です。
・胆嚢壁自体が弱くなっていた(炎症、腫瘍)
・胆管が詰まって圧が加わった(胆泥、胆囊粘液嚢腫、胆石)
・胆嚢に外圧が加わった(事故など)
また、胆嚢が悪くなる時には胆汁を作る肝臓自体が悪くなっているとも考えられています。
上記の正常な胆嚢と比べ、胆汁の流れが悪くなり、胆汁が泥のように変化(胆泥化)すると下記の様な超音波画像となります。
このように、黒く写るはずの胆汁が白く塊で見えます。
この状態ではまだ胆嚢は破裂しておらず、緊急性は高くないですが、今回破裂していた子は次のような超音波画像でした。
胆嚢の壁の連続性がなくなり、きれいな弧は描かず形が崩れ、一部壁が写らなくなっています。
また胆嚢の壁の外側も黒くなっており、液体貯溜が疑われます。
今回の子はすぐ緊急手術を行いました。
手術中の写真は以下のようでした。
腹水が貯留しており、胆嚢が存在する場所には正常な胆嚢が無く(正常な胆嚢はやや暗緑色に見える卵用です)、破けて壊死したであろう胆嚢壁と思われるものがありました。
腹水を除き、胆嚢壁と思われる部分をつかみ、
ゆっくり剥離していくと壊死していない胆嚢壁が出てきたので、なんとか胆嚢を切除し手術を終えることが出来ました。
今回の子は非常に生命力が強く、無事退院し、現在も元気に過ごしています。
胆嚢のトラブルに特徴的な症状は黄疸といった皮膚や白目の部分が黄色くなる症状ぐらいしか無く、あとは元気・食欲の低下、嘔吐などありふれた症状です。
いつもと様子が異なるときは様子を見ずにご来院頂き、病気の早期発見のお手伝いが出来たらと考えています。
気になることがありましたらいつでもご相談ください。