猫の膿瘍その① 膿胸
なつ動物病院です。
6月初の投稿は病気についてです。
今回登場していただくのはまだ8ヶ月齢のめいちゃんです。
診察台では緊張しています。
まだやんちゃざかりですが、彼が今回かかってしまった病気が膿胸です。
膿胸とは胸の中、胸腔内に膿が貯まってしまう病気です。
元気食欲の低下を主訴に来院してくださいましたが、発熱もあり、いろいろ検査をして調べても原因の特定には至らず。
すぐに良くなるという事を繰り返していました。
再び元気がなくなったという事で改めて検査をしてみると…
胸部のレントゲン画像では胸水が貯まり心臓が見にくくなった状態でした。
治療後のレントゲンは
このように心臓の形がはっきり見えますから、レントゲン画像を見ただけでも健康時と全然違うことがよく分かります。
診断は上記のレントゲン検査の他、胸水の一部を取って細菌を確認するなど、検査を組み合わせて診断します。
治療は、胸腔内をきれいにすることが主となってきます。
今回みたいに膿が多い場合は、胸腔内に細い管を入れて、洗浄・排液し、レントゲン上できれいになってきたら管を抜きます。
併せて、胸水の中にどんな細菌がいて、どんな抗生剤のお薬が効くのか調べておき、細菌に効く抗生剤を長期間飲んでもらいます。
原因ですが、ケンカによる爪や歯からの細菌感染の他、肺炎などから起こるとされています。
めいちゃんは外にも出ない、ケンカもしない子なので、まだ若く免疫が不十分なことから呼吸器感染から生じたのかなと考えています。
めいちゃんのように、最初の検査ではレントゲンで異常を認めないこともありますので、調子が悪い患者さんに対しては何度でもしっかり原因の特定が出来るまで検査を勧めさせてもらうのも大事だなと改めて実感しました。
わんちゃん、猫ちゃんは思いもしないような病気にかかることもあります。
こうしてお知らせすることで何か皆さまのお役に立てたらと思いますし、何か気になることがあれば遠慮無くご相談していただけたら幸いです。