猫のヘモプラズマ感染症
なつ動物病院です。
今回は猫ちゃんの病気の説明です。
今回ご紹介するのは猫のヘモプラズマ感染症です。
ヘモプラズマ感染症は細菌感染症の一つで、赤血球に感染することにより赤血球が壊され、貧血に陥るという病気です。
大きい紫色の円形が赤血球で、その表面についているちっさい点々がヘモプラズマです。
この病気が移る原因としてはヘモプラズマを持っている猫ちゃんとのケンカによる外傷の他、ノミの吸血時の感染、ヘモプラズマを持っているお母さんから産まれて生まれつき持っているなどがあります。
ヘモプラズマに感染した赤血球は体で悪い赤血球とみなされ、脾臓でどんどん破壊されていきます。
この影響で溶血性貧血で元気がなくなったり、食欲が落ちたり、発熱したり、と様々な症状がでます。
治療法としてはヘモプラズマをやっつける抗生剤のお薬を使ったり、赤血球が破壊されるのを防ぐ目的で一時的にステロイドのお薬を使ったり、貧血が重度であれば輸血したりなどです。
予防法はヘモプラズマに感染させない事が一番です。
具体的には猫ちゃんを完全室内飼育で飼育することにより外猫ちゃんとケンカをさせなかったり、ノミ・ダニ予防を行うことによりノミからの感染を防いだり。
なお、猫ちゃんは完全室内飼育かどうかで寿命が5歳程度変わってくるという報告もありますので(完全室内飼育が長生き)、当院では感染のリスク等もふまえて完全室内飼育をお勧めしています。
ただ、飼育環境や事情によりどうしても外に出てしまう猫ちゃんもいると思います。
そういった方にはぜひ、ノミ・ダニ予防をしていただいて、こういった病気からも予防していただけたらと思います。
なお、今回この記事を書くきっかけとなったちえみちゃんは保護されたばかりの1ヶ月齢の猫ちゃんで保護時には体にノミがついていました。
すぐノミ駆除は実施したのですが、その数日後に突然元気がなくなり、来院されました。
来たときは貧血の程度を示すHt(ヘマトクリット)という値が8%と、通常の1/4程度でびっくり。
すぐに治療を開始して、今は順調に回復中です。
なお、診察4日目のちえみちゃん。
まだまだお薬必要ですが、このまま頑張ろうね♪